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​キリスト教典礼音楽について

1.カトリック教会の典礼(総論)

2.典礼歴
a.待降節と降誕節
b.復活節の準備期 
・復活祭
c.復活節
・聖霊降臨祭
d.聖霊降臨後の時節
e.聖人祝日の部


3.聖務日課

4.ミサ

5.ミサの進行と聖歌
1.入祭唱Introitus
2.キリエKyrie
3.グローリアGloria
4.昇階唱Graduale
5.アレルヤ唱Alleluia
・続唱Sequentia
・詠唱Tractus
6.クレドCredo
7.奉納唱Offertorium
8.サンクトゥスSanctus
・ミサ典文Canon
・主の祈りPater noster
9.アニュス・デイAgnus Dei
10.聖体拝領唱Communio
・イテ・ミサ・エストIte missa est

4.ミサ


 カトリック教会における最も重要な礼拝は,《ミサ》である.

このミサは,イエズス・キリストの 十字架上における処刑の前日の出来事を記念した行事である.

この日,自分の最後が近づいていることを 知っていたイエズスは,12人の弟子を集めてお別れの夕食(最後の晩餐として知られる)を共にした.

この食卓でイエズスは,大きなパンをさいて弟子たちに与えながら,

「これはあなた方のために与える 私のからだである」と言い,

またぶどう酒の杯を取って,「これは罪の許しを得させるようにと, 多くの人のために流す私の契約の血である」と言いながら弟子たちに渡し,弟子たちはその杯をまわし飲みした.

そして,「私を記念するため,これと同じことを繰り返して行いなさい」と言われた.

 

これがミサの教理の中心となるのである.

パンとぶどう酒というイエズス・キリストのからだと血を, 司祭の手をもって父なる神にささげることにより,キリストの死と復活とを記念する祭式を《ミサ聖祭》というのである.


 さらにミサの目的として,次の4つがあげられる.

永遠の神の偉大さを賛美する.

過去と現在の慈愛に対して感謝する.

神の主権にそむいたことに対して慈悲を願う

.将来のために神の恩恵を祈る.


 ミサの全体は次の表のような形になっている.

これは,1962~1965年の第二ヴァチカン公会議以降の 典礼改革によって定められたものであるが,本質的には中世のものと変わらない.

集祷文と聖書朗読の部分は とても古くから成立していた部分で,その後この2つの間に詩篇が先唱者と聖歌隊の交互唱の形で歌われるようになった. これが昇階唱である.

また,独唱者によって歌われるもう一種の詩篇唱が福音書の前に挿入され,詠唱となった.

その後,この詠唱に変わってアレルヤ唱が歌われるようになり,詠唱は特定の幾つかのミサでのみ歌われるようになった. 次に,ミサの冒頭の司祭の入場,中間部のパンとぶどう酒の奉納,最後の信徒の聖体拝領の際にも, 詩篇が歌われるようになり,それぞれ入祭唱,奉納唱,聖体拝領唱となった.最後に,詩篇に基づかない歌詞による 聖歌がミサ通常唱として導入された.

このようにして,ミサの形式が確立されたのは中世末期の11世紀から12世紀のことであった.


 音楽的には,ミサは10種類の聖歌で構成されている.

これらの聖歌を含め典礼文の大部分が 歌われ朗唱されるものを荘厳ミサ,典礼文のすべてが読まれるものを読唱ミサという.音楽的に重要なのは, 荘厳ミサである.

また,聖歌の部分については,主日ごと,祝日ごとなどにより変化する固有唱(固有文聖歌)と, 日によって変化しない通常唱(通常文聖歌)とがある.

13世紀以後グレゴリオ聖歌以外に多声音楽も 取り入れられるようになると,さかんにキリエ,グロリア,クレド,サンクトゥス(ベネディクトゥスを含む), アニュス・デイについて作曲されるようになり,この5章を通作したものを《ミサ曲》と呼ぶようになった.


 また,死者のためにささげるミサは,特に《レクイエム》とよばれ,一定の式文を持っているため, ミサ曲と並んで作曲される機会が多かった.

このレクイエムという名称は、<主よ、 彼等に永遠の憩いを与えてくださいRequiem aeternam dona eis Domine>で始まる入祭唱の最初の 言葉からきたものである.

レクイエムではグロリアとクレドが省かれ、詠唱のあとに《怒りの日Dies irae,dies illa》 という続唱が挿入される.典礼はまず棺をむかえる交唱で始まり,この交唱の間に祭壇中央に棺が安置される.

その後,死者のためのミサが捧げられ,ミサに引き続いて,罪の許しを願う赦祷式が行われ,そして棺を 墓地に運んで埋葬式が行われる.

近代のレクイエムの中にはミサの部分のみではなくて,この赦祷式や埋葬式の 音楽を合わせて作曲されたものもある.しかし,このレクイエムという典礼形式は,典礼改革の結果廃止されてしまった.
 

聖歌 Cantus

朗唱 Recitatio

通常文 Ordinarium

固有文 Proprium




2.キリエ Kyrie 
3.グローリアGloria

1.入祭唱Introitus

集会祈願 Collecta





6.クレド Credo

4.昇階唱 Graduale

5.アレルヤ唱 Alleluia 
/詠唱 Tractus
/続唱 Sequentia

使徒書簡朗読 Epistola
 

 

 

 


福音書朗読 Evangelium
 





8.サンクトゥス Sanctus 

 

 


9.アニュス・デイ Agnus Dei 

 

 


イテ・ミサ・エスト

 Ite missa est

(閉祭)

7.奉納唱 Offertorium 

 

 

 



10.聖体拝領唱 Communio

密唱 Secreta
序(叙) Praefatio

 


ミサ典文 Canon

主の祈り Pater noster

 


聖体拝領後の祈願
 
Postcommunio

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